子供の出生数が減少!『トイザらス』が新たな戦略で『Kidult』を狙う
大人が喜んでおもちゃにお金を使う時代
Positioning Magazines. 2024.12.23
大人は誰でもかつて子供だったことがある。そして、親や保護者が子供の頃に欲しかったおもちゃを全て買ってくれるわけではないことも少なくない。子供の頃に手に入れられなかったものを、大人になった今、買いたいという思いがより強くなる人も多い。出生率が低下している中で、「キダルト(Kidult)」と呼ばれる大人たちが、今もなおおもちゃ市場を支えている。そして、トイザらスは、このトレンドにしっかりと目をつけている。
おもちゃ市場を支えているのは子供ではなく、大人である
グローバルな市場調査会社であるEuromonitor Internationalのデータによると、2023年の世界のおもちゃおよびゲームの売上高は2,730億米ドルに達し、2022年と比較して+3.1%の成長を記録した。また、2023年から2028年にかけて年間平均+2.4%の成長率で拡大を続けると予測されており、2028年には3,480億米ドルに達すると見込まれている。
アジア太平洋地域は市場シェアが最も高く、全体の36.48%にあたる9,950億米ドルを占めている。これに続くのが北米で、8,400億米ドル(30.80%)、ヨーロッパで6,110億米ドル(22.40%)となっている。
興味深いことに、出生率が低下している状況にもかかわらず、おもちゃ市場が成長を続けているのは、子供ではなく「キダルト」と呼ばれる大人たちが市場を牽引しているからである。「キダルト」は、子供心を持つ大人で、購買力があり、子供時代を思い起こさせるおもちゃやコレクターズアイテムに喜んでお金を使う層である。そのため、大手おもちゃブランドがプレミアムなコレクション商品を発売し、この大人層をターゲットにする動きが強まっている。
タイ市場も「"子供心"を持つ大人」が牽引している
タイのおもちゃ市場について、トイザらス アジアの最高経営責任者であるリオ・ソイ氏は、タイは地域の主要市場の一つであると述べている。同氏によると、タイのおもちゃ市場は今後5年間で年間平均成長率(CAGR)+7.5%の成長が見込まれている。
これは、「キダルト」(Kidult)のトレンドが成長しているためである。タイには35歳未満の人口が3,000万人以上おり、これは全人口の約40%に相当する。そのため、「キダルト」層はトイザらスが積極的に開拓すべき重要な市場となっている。
Kidultを惹きつける3つのポイント
現在、トイザらスの収益における大人層の割合は8分の1であるが、将来的には3分の1に成長する可能性がある。しかし、大人層は子供とは異なるため、商品のニーズも異なる。「キダルト」層をターゲットにするには、以下の3つの要素が重要だとリオ・ソイ氏は考えている。
- ファッショナブルであること(Fashionable):デザイナーとのコラボレーションやポップカルチャーの象徴的な要素を取り入れ、実際に使えるファッショングッズを提供。
- コレクティブル商品(Collectible):限定版のフィギュア、モデル、人気ブランドの記念品(例:トランスフォーマーの帽子など)。
- 実用的であること(Usable):日常生活で使用できる機能性を備えながらも、遊び心を忘れない商品。
現在、「キダルト」市場での売れ筋商品のうち、トップ10の中の5つは「ミステリーボックス(サプライズボックス)」で、最も人気のあるキャラクターは「バターベア(Butterbear)」である。
Photo by Chris Hardy on Unsplash