2025.11.03
Thai Local News

Z世代とY世代が住宅を購入せずにレンタルを選ぶ3つの理由――賃貸ビジネスへの転換

Z世代とY世代が住宅を購入せずにレンタルを選ぶ3つの理由――賃貸ビジネスへの転換

Photo by todd kent on Unsplash

若い世代が「購入」ではなく「賃貸」を選ぶのは、長期的な債務という重荷よりも柔軟なライフスタイルを求めているからである。このトレンドは消費者の行動を映し出すだけでなく、不確実性が高まる市場の中で不動産投資家に新たなチャンスをもたらしている。いまや不動産は「私の家」ではなく、「収益を生み出す資産」へと変わりつつある。

LWSウィズダム・アンド・ソリューションズ社の最新調査によると、タイ不動産市場における構造的な転換を示す消費行動が明らかになった。特にZ世代とY世代の66%以上が、住宅について「購入」ではなく「賃貸」を選択している。

LWS社のマネージングディレクターであるプラパンサック・ラクチャイワン氏は、このトレンドはSCB EICのデータとも一致していると述べた。そのデータによれば、バンコクおよび首都圏における住宅の所有権移転件数は継続的に減少しており、不動産市場において購入者がもはや「所有」を求めなくなっているという転換点を映し出している。

若い世代にとって「賃貸」が答えである3つの理由

1) 人生は常に動き続けるから、住まいに縛られる必要はない

Z世代やY世代は、変化の早い世界で育ち、ライフスタイルは流動的である。転職や生活の変化が毎年のように起こり得るため、「賃貸」は柔軟性を提供し、長期的な住宅ローンという重荷よりも現実的な選択肢となっている。

LWS社の調査によると、若い世代のうち実に66%が賃貸を選んでおり、そのうち60%以上は未婚の女性であった。平均的な家賃支出は月額5,000〜10,000バーツで、選択基準は主に以下の点に集中している。

  • 通勤などの交通利便性
  • 無理のない賃料水準
  • 良好な生活環境
  • ライフスタイルに対応した共用スペースの有無
  • 自動車やバイクの駐車場の確保

 

2)不安定な経済と収入に対応するため

物価が高騰し、収入が変動しやすく、経済的安定が見通せない時代において、若い世代は大きな借金を背負いたくないと考えている。「賃貸」は、経済の不確実性の中でも家計を柔軟に管理できる選択肢である。

特にZ世代やY世代の中で、収入が不安定、または将来の収入に自信が持てない人々にとって、長期的な住宅ローンを抱える準備は整っていない。そのため、「購入」よりも「賃貸」の方が、現実的で自身の経済状況に合致したライフスタイルとなっている。

3)投資先の選択肢が多様化しているため

Z世代やY世代は、フィンフルエンサーを通じてさまざまな投資手法を学び、株式、投資信託、金、暗号資産など、多様なポートフォリオを形成している。これらは不動産よりも流動性が高く、短期的なリターンが期待できるため、転売が難しい資産である不動産に資金を縛られることを避ける傾向が強い。

このような流れは、不動産投資家にとって新たなチャンスを生み出している。プラパンサック氏は「購入して賃貸に回す」ビジネスモデルが注目されており、戦略として有望であると指摘する。たとえば、価格100万〜200万バーツのコンドミニアムを購入し、月額5,000〜10,000バーツで貸し出すことで、年間平均4〜9%のリターンを見込むことが可能だという。

低金利預金と高リスク株式の狭間で、不動産賃貸市場が注目される理由

預金金利が低く、株式市場のリスクが高まる中、不動産を賃貸に回す投資は「安定収入」と「低リスク」の両立を実現する選択肢として注目されている。特に、若い世代のライフスタイルに合わせて設計されたプロジェクトを選択することで、投資価値はさらに高まる。

その一例として、以下のようなモデルが挙げられる。

  • 柔軟なリース・購入モデル:最初は賃貸として住み、後に購入へ移行可能
  • 複数エリア定額パッケージ:定額でさまざまな立地を選び、住み替えを楽しめる
  • トータルサポートサービス:入居前後の引っ越し、清掃、エアコンメンテナンスなどを一括提供

また、小口投資家向けには、コンドミニアムの一室を購入し、専門会社が入居者の募集から賃貸管理までを代行、さらには利回り保証を行うモデルも存在している。

このように、不動産は「流動性の低い資産」から「収益を生み出す資産」へと転換しつつある。
「借りる世代」の台頭は、「プロの賃貸オーナー時代」の到来を告げている。住宅市場はもはや「マイホームを求める人」だけに依存するのではなく、「住宅から収益を得たい人々」が主導する新しい局面へと移行しているのだ。

Z世代・Y世代が購入を避け、毎月の賃料支払いにシフトする今こそ、不動産賃貸投資はインフレ、変動、そして経済的不確実性の時代における「現実的で魅力的なチャンス」となっている。

 

Bangkokbiznews.2025.05.17