2025.11.03
Thai Local News

「T-Beauty」がアジアで急成長、『シーチャン』が海外市場に進出

「T-Beauty」がアジアで急成長、『シーチャン』が海外市場に進出

Photo by Shamblen Studios on Unsplash

T-Beauty(タイ発のビューティー製品)は、ASEAN諸国やアジアの消費者から注目を集めており、市場は年々拡大を続けている。ASEANおよびアジア市場の視点から見ると、タイブランドの化粧品は「高品質で国際基準を満たし、価格も手頃」という評価を受けている。

その明確な事例のひとつが、日本におけるT-Beautyの成長です。ここでは「スワイメークと呼ばれるトレンド、すなわち「タイ風メイク」が登場した。特徴としては、セミマットな仕上がりのファンデーション、少し立ち上げた自然な眉、ナチュラルなトーンのアイシャドウ、アイラインと下まつげを強調した目元、セミマットのリップスティック、そして楕円形にぼかした健康的な色合いのチークが挙げられる。

さらに、T-Beautyの成長を後押しするもう一つの重要なトレンドとして、タイの消費者が化粧品の「成分」に以前よりも注目するようになった点が挙げられる。購買判断は広告だけでなく、製品テストの結果やラベル表示の内容によっても左右されるようになっている。

一方で、海外の消費者、特にラオスや日本では、タイ製品を受け入れる動きが広がりつつある。その際の重要な条件は「国際ブランドと同等の品質を備えていること」である。

シーチャン(SRICHAND)―T-Beauty トレンドの中で注目されるタイブランド

シーチャン(SRICHAND)は、2021年に本格的に市場シェア争いへ参入したばかりにもかかわらず、タイのスキンケア市場で第1位のブランドに躍進した。今年は景気低迷に逆行するかたちで、事業が継続的に成長すると予測されている。

メイクアップ、スキンケア、日焼け止めの3つの商品カテゴリーにおける売上は前年比30%増となり、総売上高は20億バーツに達する見込みである。

2021年から2025年の間の成功

毎年二桁成長を達成し、売上10億バーツに到達

  • 2021年の売上高:5億2,000万バーツ
  • 2022年の売上高:7億1,700万バーツ(+42.02%)
  • 2023年の売上高:10億1,900万バーツ(+41.92%)
  • 2024年の売上高:16億バーツ(+58.98%)
  • 2025年の売上目標:前年比+30〜40%以上の成長を目指す

なお、売上全体の主な構成比は オフライン販売が90%オンライン販売が10% となっている。

海外市場拡大、ラオス・日本市場が好調 

シーチャンはラオス市場へ進出し、2021年から2024年にかけて年平均112.5%という高成長を記録した。主力となっているのはスキンケア製品で、Moisture Burstシリーズ、日焼け止め、ルースパウダーやファンデーションなどが人気を集めている。ブランド認知度の向上に向け、Miss Universe Laos(2022〜2024)への協賛やLaos Fashion Week 2024の開催支援など、国家規模のイベントに積極的に関与した。また、ラオスの有名インフルエンサー「Nethdao」をローカルブランドプレゼンターとして起用している。

さらに、日本市場でも好調な兆しが見られる。現在、シーチャンのパウダー製品は日本全国で2,000店舗以上のオフラインチャネルを通じて販売されている。特徴的なデザインが評価され、日本の玩具メーカー BANDAI はシーチャンのパウダーケースのライセンスを取得。日本国内で販売されている6種類のコンパクトをモチーフにしたガシャポン(カプセルトイ)のキーホルダーを商品化した。

タイ発ソフトパワー「T-Beauty」、海外市場に進出 

現在、「T-Beauty」の潮流は国内外でますます人気を集めている。ドラマ、シリーズ、音楽などを通じて広がり、それに伴いタイの美容製品も注目を浴びるようになった。

ブランド側は、「T-Beauty」にはタイを代表する強力なソフトパワーとなる十分な可能性があると確信している。

タイ化粧品、FTA追い風に海外展開を加速

現在、化粧品の輸出市場は約350億バーツ規模に達しており、これは市場全体の約22%を占めている。2024年には輸出額が引き続き拡大し、前年同期比20.6%増と、新型コロナ危機前の水準を上回った。主要市場であるASEAN、中国、オーストラリア、インドはいずれも堅調な成長が見込まれている。

今後についても、2025年には前年比12.8%、2026年には同10.3%の拡大が予測され、2026年には輸出額が430億バーツに達する見通しである。

その背景の一つには、FTA(自由貿易協定)による関税上の優遇措置の継続的な効果がある。ASEAN、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、香港、韓国、インド、チリ、ペルーを含む18か国との協定により、事業者は海外市場への展開を一層拡大することが可能になっている。

タイの主要な化粧品輸出市場

Krungthai COMPASSの報告によると、2024年のタイの化粧品輸出額は350億バーツであり、その主な輸出先は以下の通り。

 

T-Beautyは「品質×手頃な価格×ソフトパワー効果」でアジア市場を席巻しており、シーチャンはその代表格として国内外で急成長。FTAを追い風に輸出市場も拡大しており、今後も持続的な成長が見込まれる状況である。

 

出典:Forbes Thailand.2025.06.25

Krungthai COMPASS