2024年はアートトイ(Art Toy)の年

「(大人の)遊び場」での戦いが激化、キダルト(Kidult)層をターゲットに!
Maketeer Online. 2024.12.27
2024年を通して経済が脆弱な状況にある中で、贅沢品は大きな影響を受けたが、タイのおもちゃ市場にはその影響が及ばなかった。市場は成長を続けており、その主な原動力となっているのが「キダルト」層と「ポップカルチャー」のトレンドである。その中でも「アートトイ」は、年間を通じて市場の主要なトレンドの一つとなっている。
「キダルト」という言葉は、Kid(子ども)とAdult(大人)を組み合わせたもので、子どもの頃の欲求を満たすため、または将来の投資としておもちゃを収集することに熱中している購買力の高い大人を指す。この層は、中間層の拡大という追い風を受けて、依然として成長を続けている。
一方で、商業振興局のデータによると、タイのおもちゃ市場は製造業と販売業の両面で際立った存在感を示している。2023年を通じて、おもちゃ事業は合計で19,677.21百万バーツの収益を上げ、大幅な成長を遂げた。利益は467.62百万バーツに達した。
ブランドのマーケティング戦略において、特に飲食店では、自社のマスコットキャラクターをアートトイ業界に参入させることで、集客を狙ったユニークなマーケティング施策が展開されてきた。年間を通じて、ランダムボックス形式(サプライズボックス)での販売が活発に行われ、注目を集めている。
例えば、シズラー(Sizzler)は「チーズトーストちゃん」の新しいアートトイコレクションをランダムボックス形式(サプライズボックス)で展開した。また、多くの人が「バーベゴン」と呼ぶほど成功を収めたバーベキュープラザ(Bar B Q Plaza)のマスコットである緑のドラゴンも、同様にランダムボックスコレクションとして商品化されている。
さらに、マクドナルド(McDonald’s)は、アートトイを活用したマーケティングの先駆者的存在であり、その時々のポップカルチャーとコラボレーションしてきた。アートトイはハッピーミールセットと共に提供される形で展開されている。最近では「マリオカート」コレクションを発売し、キダルト層の心を効果的に掴んだ。マリオはキダルト層の幼少期の思い出に深く結びついたキャラクターの一つであるため、特に強い訴求力を持っている。
キャラクターやポップカルチャーをテーマにしたアートトイを展開する多国籍ブランドは、2024年にタイをASEAN市場進出の主要拠点として位置付けている。一年を通じて、フラッグシップストアのオープンを次々と進め、タイ市場への本格的な参入を図っている。
例えば、ポップマート (POP MART)は、タイでの初出店(セントラルワールド店)から1周年を記念し、8店舗目となるフラッグシップストアをサイアムスクエア・ソイ7にオープンした。この新店舗は、縦型のフラッグシップストアとして設計されている。
一方で、消費者やクリエイティブ業界の視点では、iCreator Conference 2024のセッション「アートトイのイメージを変え、コレクターの世界へ」において、アートトイクリエイターであるアーティスト「アンディ・ウォラカン・チョンタナピパット」(通称ミスタークリーム/MRKREME)が講師の一人として登壇した。
「デザイナーとしての出発点は、自分が作り上げたキャラクターを3Dの形で見てみたいという気持ちから始まりました。当初、デザイナートイについて詳しくは知りませんでしたが、この仕事を始めることで、アートトイがコレクターにとってどれほど価値があり、魅力的なものかを知ることができました。アートトイの魅力は、コレクター自身の個人的なつながりにあると思います。それは単なるおもちゃではなく、記憶を映し出すものであり、今日の自分と過去の自分をつなぐ架け橋のような存在なのです。」とウォラカン氏が述べた。
Photo by Nattaporn, Tokyo SME Support Center