タイで広がる「日本の中古品」人気
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タイ大手銀行サイアム商業銀行(SCB)の調査部門SCB EICによると、タイの中古ファッション市場は2023年に約18億バーツとなり、前年比約20%増加した。さらに、2024~2027年も年平均約15%の成長が見込まれており、市場拡大が続くと予測されている。背景には、物価上昇などを受けて新品より手頃な価格の商品を求める消費者が増えていることに加え、若い世代を中心に中古品に対するイメージが変化していることがある。中古品は単なる「安い代替品」ではなく、ヴィンテージ品や一点物との出会いを楽しむファッションの選択肢として受け入れられつつあり、環境負荷の低減や循環型消費への関心の高まりも市場の成長を後押ししている。
「日本中古品倉庫」が生む宝探し型の消費
タイで特徴的なのが、「日本中古品倉庫」と呼ばれる倉庫型店舗である。大型倉庫に日本から輸入した家具、食器、衣類、バッグ、靴、玩具、フィギュア、楽器、工具、家電などを大量に並べ、一般消費者への小売りだけでなく、転売事業者への卸売りも行う。
タイのメディアGRIDが日本のANN報道を紹介した記事によると、商品の供給源には、日本の一般家庭から買い取られた不用品、引っ越し時に処分される家財、住宅整理業者が回収した商品などがある。再販可能な商品は中古品市場や業者間オークションを経て選別され、コンテナでタイへ輸出される。同記事では、タイの大手事業者が日本のオークションで仕入れ、月約30コンテナを輸入する例も紹介されている。
人気商品は自転車、楽器、工具、キッチン用品、文具、模型・フィギュア、バッグ、靴、衣類など幅広い。日本語の看板や置物も、日本風カフェや飲食店の内装用として需要があるという。MGR Onlineも、日本からコンテナ単位で中古品を輸入する大型倉庫を紹介しており、個人利用だけでなく仕入れ・転売目的の来店者がいると報じている。
市場成長を支える3つの要因
第一は「価格の手頃さ」である。物価上昇の中で、ブランド品や品質の良い衣類・生活用品を新品より安く購入できる点は大きな魅力となっている。
第二は「中古品に対するイメージの変化」である。中古品は新品の代用品という位置付けから、ヴィンテージ品や一点物を探す楽しみを伴う消費へと変化している。特に若い世代では、ファッション性に加え、環境配慮や循環型経済(Circular Economy)への関心も購入を後押ししている。
第三は「日本の中古品と日本流サービスへの信頼」である。日本から輸入される商品には、丁寧に使われ状態が良いというイメージがある。また、日系リユース企業では、査定、真贋確認、価格表示、カテゴリー別の陳列など、日本で培った店舗運営のノウハウそのものが差別化要因になっている。
2nd STREET、タイで12拠点に拡大
こうした市場環境を背景に、日本の大手リユース企業もタイで出店を加速している。ゲオホールディングス傘下の「2nd STREET」は2023年12月、バンコクのBig C Rama 4にタイ1号店を開業した。中古衣料、バッグ、靴、アクセサリーなどの販売に加え、タイ国内で消費者から商品を買い取る仕組みも導入している。
2026年8月時点の公式SHOPページには、Langsuan、Fashion Island、The Mall Lifestore Ngamwongwan、Central Chaengwattana、Central Westgate、Phrom Phong、Central Rama 3、The Mall Bangkapi、Seacon Bangkae、Silom Edge、Central World、BIG-C RAMA4の12拠点が掲載されている。Central Worldでは通常店に加え、ブランド品に特化した「BRAND SPECIALTY」も同一ロケーション内で展開している。
2nd STREETは、タイに既に中古品を購入する文化がある一方、商品の状態や真贋、価格の分かりにくさが課題になり得る市場に対し、日本で蓄積した査定・商品管理ノウハウによる「安心感」を持ち込んでいる。2035年3月までにタイ国内50店舗体制を目指すとしており、今後の店舗網拡大も注目される。
高級中古品ではKOMEHYOが8店舗を展開
一方、時計、ジュエリー、ブランドバッグなどの高級中古品分野では、コメ兵ホールディングスの「KOMEHYO」がタイで事業を拡大している。タイ企業Saha Groupとの合弁会社を通じて展開し、2026年8月時点の公式サイトには8店舗が掲載されている。
店舗はKingSquare Community Mall、Central Pinklao、Central Ladprao、The Mall Lifestore Bangkapi、J-Park Sriracha、Terminal 21 Rama 3、Central World、Central Bangna。これとは別に、Central Towerには買取を行う「Buying Center」を設けている。バンコクの大型商業施設を中心としながら、チョンブリ県シラチャにも出店している点が特徴だ。
KOMEHYOは、ブランドバッグ、時計、ジュエリーなど比較的高価格帯の商品を中心に扱い、査定や真贋確認など、日本で培ったリユース事業のノウハウを活用する。幅広い衣料・服飾雑貨を扱う2nd STREETとは異なる顧客層を狙い、同じ日本発リユース企業でもタイ市場で異なるポジションを築いている。
「安い中古品」から「価値あるリユース品」へ
タイにおける日本の中古品ビジネスは、大量の商品をコンテナで輸入して販売する郊外型の「日本中古品倉庫」と、2nd STREETやKOMEHYOに代表される都市型・専門店型のリユースショップという二つの方向で発展している。
前者では「安さ」「商品の多さ」「宝探し感」が魅力となり、後者では「品質管理」「真贋への安心感」「店舗の利便性」が重要な価値となっている。節約志向、ヴィンテージ人気、環境意識、日本の中古品に対する信頼が重なり、タイの中古品市場は単なる低価格市場から、商品価値や体験を重視するリユース市場へと広がりつつある。
日本の中小企業にとっても、単純な中古品輸出だけでなく、査定、修理・クリーニング、真贋鑑定、物流、在庫管理、EC、店舗運営など、日本で蓄積したリユース関連サービスやノウハウをタイ市場へ展開する余地がある。タイ側の販売事業者との連携や、特定カテゴリーに特化した卸売・専門店モデルなど、多様な参入機会が考えられそうだ。
Sources(リンク先の情報はタイ語または英語で掲載されています。)
- SCB EIC, “Resale in Fashion”
https://www.scbeic.com/th/detail/product/resale-in-fashion-301123 - GRID, “ของมือสองญี่ปุ่นจากโกดัง มาจากไหน?”
https://gridmag.safesavethai.com/where-do-japanese-second-hand-warehouse-items-come-from/ - MGR Online, “โกดังสินค้ามือสองญี่ปุ่นในไทย”
https://mgronline.com/travel/detail/9650000109475 - Nippon47, “โกดังเสื้อผ้ามือสอง นำเข้าจากญี่ปุ่นโดยตรง”
https://www.nippon47.com/
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