SNSで再ブーム、バンコク・ルンピニー公園のエアロビクスが若者を魅了
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タイ・バンコクの中心部に位置する「ルンピニー公園」で毎日行われている無料エアロビクスが、いま若者や外国人観光客の間で大きな話題となっている。
かつてエアロビクスといえば、中高年が健康維持のために参加する運動というイメージが強かった。しかし現在では、TikTokやInstagramなどのSNSで数百人が音楽に合わせて一斉に踊る様子が拡散され、「バンコクへ行ったら一度は参加したいアクティビティ」として人気を集めている。
この現象は単なる一時的なブームではなく、タイの健康文化や都市文化、さらにはソフトパワーを象徴する存在へと発展しつつある。
約40年続くタイのエアロビクス文化
タイでエアロビクスが本格的に普及し始めたのは1980年代後半とされる。当時は欧米から広まったフィットネスブームの影響を受け、健康増進を目的として多くの自治体や教育機関が運動を推進した。
バンコク都(BMA)は、市民が気軽に運動できる環境づくりを進め、公園で無料のエアロビクス教室を開催するようになった。ルンピニー公園はその代表的な会場であり、長年にわたり夕方になると大勢の市民が集まり、音楽に合わせて汗を流してきた。
参加費は不要で、事前予約も必要ない。運動経験の有無や年齢に関係なく、誰でも自由に参加できることが特徴である。
このような公共空間を活用した健康づくりは、タイでは長年親しまれており、市民の日常生活の一部となっている。
SNSが生んだ「第二次エアロビクスブーム」
近年、この伝統的な活動が再び注目を集めるきっかけとなったのがSNSである。
TikTokには、夜のルンピニー公園で数百人がテンポの速い音楽に合わせて踊る動画が数多く投稿されている。
色とりどりのスポーツウェアを身に着けた参加者たちが、ライトアップされた公園でリズムよく体を動かす様子は非常に迫力があり、「タイらしい光景」「こんな無料イベントがあるとは知らなかった」と海外ユーザーの間でも話題となった。
マーケティング企業Mandala AIの分析によると、「ルンピニー公園エアロビクス」に関するコンテンツは3,600万回以上閲覧され、その約90%がTikTok経由だったという。
また、InstagramやFacebook、YouTubeでも動画が拡散され、多くの旅行系インフルエンサーが現地を紹介している。
SNSによって「健康づくりの場」から「参加してみたい観光スポット」へとイメージが変化したのである。
K-POPスターも訪問し話題に
人気を後押しした出来事の一つが、韓国の人気グループNCTのテヨンがルンピニー公園を訪れたことである。
テヨンが現地で撮影した写真や動画はSNS上で大きな反響を呼び、多くのファンが同じ場所を訪れる「聖地巡礼」が始まった。
さらに、タイ国内でも人気インストラクターがSNSを積極的に活用し、レッスン風景を発信している。
音楽も従来のディスコやダンスミュージックだけではなく、K-POPや最新のヒットソングが取り入れられ、若年層でも親しみやすい内容へと変化している。
参加者の多くは運動だけでなく、動画撮影や写真撮影も楽しみ、SNSへ投稿することでさらに認知が広がるという好循環が生まれている。
健康だけではない「コミュニティ」の魅力
ルンピニー公園のエアロビクスが人気を集める理由は、運動効果だけではない。
一人でも気軽に参加でき、同じ音楽に合わせて体を動かすことで自然と一体感が生まれる。
参加者同士が交流し、新しい友人をつくる場にもなっている。
仕事帰りの会社員、学生、高齢者、外国人旅行者など、年齢や国籍を問わず同じ空間で運動できることは、このイベントならではの魅力である。
タイでは「サヌック(Sanuk=楽しさ)」を重視する文化が根付いているが、エアロビクスも「楽しみながら健康になる」という価値観を体現する存在となっている。
周辺ビジネスにも経済効果
参加者の増加は、公園周辺の飲食店や屋台にも好影響をもたらしている。
運動後にスムージーやタイ料理、軽食を楽しむ人が増え、夕方から夜にかけて周辺店舗の利用者が増加しているという。
また、スポーツウェアやシューズ、健康食品などの関連市場にも追い風となっている。
企業にとっても、健康志向の若者へ商品をアピールできる場として注目されており、スポーツブランドがイベントを開催するケースも見られる。
バンコク都が目指す健康都市
バンコク都は、市民の健康寿命を延ばす取り組みの一環として、公園での無料運動プログラムを継続している。
ルンピニー公園だけでなく、ベンチャキティ公園やチャトゥチャック公園などでもエアロビクスや各種フィットネスプログラムが開催されている。
都市部では運動不足が課題となる中、誰でも無料で参加できる公共フィットネスは、市民の健康維持に重要な役割を果たしている。
また、外国人観光客にとっても、タイの日常文化を体験できるユニークな観光コンテンツとして高く評価されている。
タイのソフトパワーとして世界へ
ルンピニー公園のエアロビクス人気は、「健康」「コミュニティ」「観光」「SNS」という複数の要素が組み合わって生まれた新しい都市文化と言える。
誰でも無料で参加でき、言葉が分からなくても音楽に合わせて一緒に踊れるというシンプルさは、国境を越えて人々をつなぐ力を持つ。
タイ政府は近年、「ソフトパワー」を国家戦略の一つとして推進しているが、ルンピニー公園のエアロビクスも、タイらしいライフスタイルや人々の温かさを世界へ発信するコンテンツとして注目され始めている。
今後はSNSを通じた情報発信がさらに進むことで、エアロビクスは健康づくりの枠を超え、タイを代表する都市文化として、国内外からますます多くの人々を惹きつけていくことになりそうである。
Sources: Marketeer Online; THE STANDARD; Aerobic Dance Project Thailand; Thairath Sport (Facebook), accessed June 2026.
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