2026.06.30
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タイで干ばつリスク高まるー海洋異変も発生、気候変動が企業活動に影響

タイで干ばつリスク高まるー海洋異変も発生、気候変動が企業活動に影響

 Image AI-generated illustration. Data source Kasikorn Research Center (KResearch), April 22, 2026.

タイでは2026年後半にエルニーニョ現象が強まり、「スーパーエルニーニョ」へ発展する可能性が指摘されている。カシコンリサーチセンター(KResearch)は、降雨量の減少や気温上昇により深刻な干ばつが発生するリスクが高まっていると警告している。

さらに、タイ南部では海洋環境の異変も確認されており、気候変動の影響が農業や製造業だけでなく、水産業や観光業にも広がる可能性が懸念されている。

降雨量が大幅減少―2026年は水不足が深刻化する見通し

KResearchによると、2026年のタイの年間降雨量は約1,479ミリメートルとなり、前年から約18.6%減少する見込みである。エルニーニョの影響により高温・少雨の状態が続き、水資源不足が全国的に深刻化する可能性がある。

また、国内では約44億立方メートル規模の水不足が発生する可能性も指摘されており、農業用水や工業用水の確保が大きな課題となる見通しである。

農業への影響―主要農産物の減産リスク

干ばつによる影響が最も懸念されるのが農業分野である。

タイの主要輸出品であるコメをはじめ、サトウキビやキャッサバなど水を多く必要とする作物では、生産量の減少が予想されている。収穫量の低下は農家の所得減少だけでなく、食品価格の上昇や輸出への影響につながる可能性がある。

世界有数のコメ輸出国であるタイの生産量が減少した場合、国際市場におけるコメ価格にも影響を与える可能性がある。

製造業への影響―工業用水の確保が課題に

製造業においても、水不足は大きな経営リスクとなる。

食品加工業、化学産業、自動車産業、電子部品産業など、多くの製造業では生産工程で大量の水を使用している。干ばつが長期化した場合、生産調整やコスト増加につながる可能性がある。

タイに進出する日系企業にとっても、水不足による操業リスクやサプライチェーンへの影響を考慮した対策が求められている。

海洋環境にも異変―チュムポーン県で魚類大量死

Image Source: TNN Thailand (YouTube), accessed June 2026.

Image Source: TNN Thailand (YouTube), accessed June 2026.

 

気候変動の影響は陸上だけにとどまらない。

2026年、タイ南部チュムポーン県では植物プランクトンが異常繁殖する「プランクトンブルーム」が発生した。これにより海水中の溶存酸素量がゼロ近くまで低下し、多くの魚介類が大量死する被害が確認された。

海洋専門家は、この現象について海水温上昇や海洋環境の変化との関連性を指摘している。今後スーパーエルニーニョが発生した場合、同様の現象が他地域にも広がる可能性があるとして警戒を呼びかけている。

水産業・観光業への影響も懸念

プランクトンブルームによる海洋環境の悪化は、水産業や観光業にも影響を及ぼす可能性がある。

漁獲量の減少や養殖業への被害に加え、海洋レジャーやダイビング観光への悪影響も懸念される。また、猛暑や水不足、PM2.5の増加などが重なれば、自然観光地や屋外観光の魅力低下につながる可能性もある。

観光業はタイ経済を支える重要産業の一つであり、気候変動による影響は宿泊業や飲食業、交通業など幅広い分野に波及することが予想される。例えば、猛暑や水不足によって国立公園や滝などの自然観光地の魅力が低下した場合、観光客数の減少につながる可能性がある。また、PM2.5の増加や森林火災の発生は旅行需要を抑制する要因となり得る。さらに、海水温の上昇やプランクトンブルームの発生により、ダイビングやシュノーケリングなどのマリンレジャーへの影響も懸念される。観光客の減少は、ホテルやレストラン、土産物店、観光バス事業者など関連産業の売上減少につながる可能性がある。

タイでは観光関連産業がGDPの約2割を占めるとされており、観光客数の減少は宿泊業や飲食業だけでなく、小売業、物流業、交通業にも波及する可能性がある。特にプーケット、クラビ、サムイ島など観光依存度の高い地域では、海洋環境の悪化や異常気象による観光需要の低下が地域経済に与える影響も懸念されている。

企業に求められる対応

KResearchは企業に対し、水使用量の削減、水の再利用システムの導入、貯水設備の整備など早期の対策を呼びかけている。

また、干ばつや異常気象による原材料調達リスク、物流への影響、エネルギーコスト上昇なども想定されることから、企業には事業継続計画(BCP)の見直しや気候変動リスクへの対応強化が求められている。

気候変動は環境問題にとどまらず、企業経営やサプライチェーン全体に影響を及ぼす重要な経営課題となりつつある。

 

Sources: Kasikorn Research Center (KResearch), April 22, 2026; TNN Thailand, June 2026.

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